2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会保障施策の地域的・総合的提供(「政策の束」)に関する国際比較研究
Project/Area Number |
19402040
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武田 公子 Kanazawa University, 経済学経営学系, 教授 (80212025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
井上 英夫 金沢大学, 法学系, 教授 (40114011)
伍賀 一道 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20104870)
堀林 巧 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
横山 壽一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
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Keywords | 社会福祉関係 / 政策の束 / 貧困との闘い / 社会的排除 / 社会的包摂 / 国際比較 / 地域における対貧困政策 / 多重債務問題 |
Research Abstract |
貧困問題へのローカルなアプローチとしての「政策の束」の可能性を探るという本研究の目的に即し、各国および国内の現地調査を行うとともに調査結果を相互に共有し、理論化に向けた議論を進めた。調査等を通じて確認された点は以下の諸点にまとめられる。 1. 世界的な経済情勢の悪化により失業問題が先鋭化し、貧困問題への関心も高まるなか、各国における対貧困政策の枠組みに変化が見られる。90年代のデータ分析に基づいて従来展開されてきた福祉国家類型論は見直しを迫られているものと考えられる。特にアジア諸国においては貧困の存在形態の上で欧米諸国との差異が見られ、これら諸国において今後「政策の束」がいかに形成されていくかは引き続き検討を要するものと考えられる。また貧困の測定指標、経済格差の測定方法、非正規労働の実態把握に関しても多くの議論がなされており、なお検討が必要と思われる。 2. 資格や熟練度の低い不安定就労層、また社会的排除により低所得に滞留する層への地域的支援の必要性が強く認識されるようになってきた。こうしたなか従来公的扶助制度の整備に消極的であった国でも低所得層への各種社会サービス(医療・介護等)のあり方を検討する必要に迫られてきている。 3. 貧困層に対するローカルな支援において、NPO・NGOや地域的諸団体の活動が多用に展開されている状況も確認された。こうした活動は個別テーマに特化しつつも、地域における社会的包摂と連帯の形成において重要な役割を果たしている。これらに対する公的支援や行政と民間団体との関わりについてはなお今後の検討課題である。また医療・介護等サービス保障の財源面においては民間の保険制度の組み込みとその相互調整が課題となってきている面もある。
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Research Products
(28 results)