2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会保障施策の地域的・総合的提供(「政策の束」)に関する国際比較研究
Project/Area Number |
19402040
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武田 公子 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80212025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
井上 英夫 金沢大学, 法学系, 教授 (40114011)
伍賀 一道 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20104870)
堀林 巧 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
横山 壽一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
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Keywords | 社会福祉関係 / 政策の束 / 貧困との闘い / 社会的排除 / 社会的包摂 / 国際比較 / 地域における対貧困政策 / 地域雇用 |
Research Abstract |
本研究は、地域における対貧困政策の相互連携(=「政策の束」)の可能性を、各国の社会保障政策諸分野を横断的に比較研究することを通じて明らかにすることを目的としている。最終年度のH22年度には、分担に基づくそれぞれの研究および全体としての研究成果のとりまとめに向けた作業と、補完的な現地調査とを中心に実施した。なお、本研究の終了にあたり、23年度中に、成果報告のための公開研究会の開催と、出版に向けた準備とを計画しているところである。22年度には従前通り定期的研究会を開催するとともに、取りまとめに向けた合宿研究会も開催した。これらの研究会で各国の状況に関する情報交換を行い、以下のことが明らかになった。 世界的な金融経済危機からの回復傾向のなか、雇用情勢には各国によって異なった。欧州大陸諸国等では、操業短縮手当や雇用助成の拡大による雇用維持策によって失業率上昇は免れたが、その後これらの施策の縮小局面のなかで、条件不利層の労働市場への統合の困難が再び焦点化してきている。労働市場の規制緩和によって非正規雇用を拡大してきた国々では格差・貧困問題が先鋭化し、労働市場政策のあり方の見直しも迫られてきている。 こうしたなか、わが国では「第二のセーフティネット」への動きや、生活保護受給者へのパーソナル・サポート・サービス(PSS)のモデル事業着手がみられた。これは当研究が想定していた「ローカルな社会保障政策の束」のモデルに近いものといえ、我々の研究が先見的なものであったことが実証されたといえる。今後PSS事業の進展状況も観察していきたいが、EUにおける「社会的都市」プロジェクトがすでに多くの実績を挙げていることに学ぶ必要があろう。
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Research Products
(22 results)