Research Abstract |
インドネシア・ジャワ島のメラピ火山流域を対象として,火山噴火や地震に起因する土砂災害について調査を行うとともに,土砂生産の活発なこの地域の土砂管理の在り方について提言した.これまでの調査研究により,この流域の土砂災害は,主として,頻発する火山噴火および豪雨によるその後の土砂移動現象によって発生することが分かっている.また,これらのイベントは質の良い豊富な量の土砂を生産するため,資源的観点から見ると,過剰な砂利採取等に見られるような好ましくない資源利用の状況を産み出している.過剰な土砂資源利用は河床低下など流域の荒廃を招き,森林伐採などの土地利用の改変と合わせて,土砂災害が顕在化する重要な背景となっている. そこで,以上のことを鑑み,2001年から2009年までの衛星データ(ASTER)の解析や1月から3月の集中流域調査などにより,流域の土地利用の改変や砂利採取の実態などを検討するとともに,砂利採取の影響を考慮した土砂動態解析モデルを提示した.このモデルは2006年のメラピ火山噴火後のゲンドル川の土砂流出解析に適用され,土砂流出特性が検討された.本年の流域調査により,ゲンドル川の洪水が撮影され,これを参考にしながら,この土砂流出計算の妥当性を評価した. この流域で持続的な生存基盤を構築するためには,土砂災害と土砂資源の両方をもたらす大小さまざまな異なる規模の火山噴火に対して,適切な土砂災害と土砂資源の管理を行う必要がある.この管理は砂防事業,河川事業,砂利採取の規制を通して行われるが,それらを個別に行うのではなく,これらを連携して行うことが重要であり,三位一体となった土砂管理手法の提言と,いろいろな土砂管理シナリオに対する流域の社会・経済・環境へのインパクトについても検討した.
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