2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゴンドワナ植物・ナンキョクブナ属をめぐる共生・寄生系の進化史の解析
Project/Area Number |
19405012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂山 英俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (60391108)
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Keywords | 生物間相互作用 / ゴンドワナ / ナンキョクブナ / 進化 |
Research Abstract |
ナンキョクブナ属植物は、その分布パターンからゴンドワナ大陸に起源した植物群-すなわちゴンドワナ植物と考えられてきた。その理由として、南極大陸を含むゴンドワナ大陸から分離した多くの陸塊から化石が見つかっていることや、種子が大型で耐塩性を持たないため、海を越えての分散が期待できないことが挙げられる。しかし、分子系統学的解析を含むこれまでの研究結果からは、ナンキョクブナ属の現生種は決して遺存的なものではなく、ゴンドワナ大陸が成立していた年代よりも後に生じたことが明らかになっている。また、その種分化パターンに関しても、それぞれの大陸・地域の種群で単系統にならず、大陸・地域間での移動が複数回起こったことが明らかになっている。本研究では、南半球に隔離分布するナンキョクブナ属植物をめぐる複数の共存系を対象に多様な生物が織り成す共存系の進化史解明を目指している。 本年度は南米での調査・研究を行った。その結果をニュージーランドとオーストラリアのオセアニア地域でのナンキョクブナ属植物の利用する昆虫相を比較したところ、以下のことが明らかになった。1)ゾウムシ類は、ニュージーランドに比べて多様性が低い。南米では、特に新芽を食べる種類が少なく、多くのゾウムシ類は材を利用する。2)チョウ目昆虫では、ニュージーランドとオーストラリアなどのオセアニア地域との比較で、近縁なナンキョクブナ属植物では、同属の蛾類が利用している。この結果は蛾類のCOI遺伝子のDNAバーコード領域の配列に基づいた系統樹とナンキョクブナ属植物の分子系統樹の比較解析でもサポートされた。
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