2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域ショウジョウバエ相の多様性形成過程:その包括的理解をめざして
Project/Area Number |
19405013
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青塚 正志 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 教授 (40106604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
渡部 英昭 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10167190)
木村 正人 北海道大学, 地球科学研究科(研究院), 教授 (30091440)
高森 久樹 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (40188090)
屋富祖 昌子 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 客員研究員 (50045134)
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Keywords | ショウジョウバエ / アジア地域 / 生物多様性 / 種分化機構 / 進化遺伝 / 分子系統学 / 国際研究者交流 / ベトナム:インドネシア:台湾:中国:マレーシア |
Research Abstract |
研究代表者・分担者が遂行してきた平成12年〜17年の調査研究において浮き彫りになった重要な課題に的を絞り,補完的現地調査と室内解析研究を行った.得られた主な知見は以下のとおりである. 1.ウスグロショウジョウバエ種群の採集調査:マレーシアにおいてウスグロショウジョウバエ(D.obscura)種群の3新種を記載した.東洋区熱帯(高山)からの発見は,本種群の起源を探る上で重要な新記録である.また,そのうちの1種は,雄の頭部が異常に拡張する性的二形を示し,シマショウジョウバエ亜属では初記録であり,本形質の進化・遺伝機構を解明する好材料になる. 2.果実食ショウジョウバエの多様性増大における寄生蜂の役割:インドネシア,ボゴールにおいて果実食ショウジョウバエとその寄生蜂の調査を行った.その結果,主なショウジョウバエ11種,主な寄生蜂5種を確認した.5種の寄生蜂の宿主選好性は大きく異なっており,ショウジョウバエと寄生蜂の両は相互に影響しながら多様性を増大させてきたと推測された. 3.ベトナムBa Vi国立公園内および周辺地域におけるショウジョウバェの採集調査:多くの標本を採集し,本地域の多様性についての情報を得ると共に,野生のD.prolongataの配偶行動・闘争行動をビデオカメラで記録することができた. 4.分子系統学的解析:シマショウジョウバエ亜属を中心とした分類群の系統関係を明らかにするために,ニセヒメショウジョウバエ属と新熱帯特産のD.saltans種群との関係に着目し分子系統解析を行った.また,ショウジョウバエ亜属に含まれる比較的大きなグループで,現在までに5亜群94種が報告されているオオショウジョウバエ種群19種について分子系統解析を行った。その結果,本種群が単系統群ではないことが強く示唆された.
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