2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯~冷温帯湿地に由来する溶存有機物:構造特性に基づく機能・動態評価
Project/Area Number |
19405021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50231098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒木 潔 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (80180024)
眞家 永光 北里大学, 獣医学部, 講師 (00453514)
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Keywords | 溶存有機物 / 腐植物質 / フルボ酸 / 湿地 / 泥炭 / 炭素循環 / 蛍光特性 / 光分解 |
Research Abstract |
北海道・厚岸、米国・フロリダ州エバーグレーズ、マレーシア・サラワク州ムカにおいて河口域の河川水を採取するとともに溶存有機物(DOM)試料の調製を行った。河口域におけるDOMの動態をDOM濃度、腐植物質・非腐植物質の割合、およびParallel-Factor Analysisによる三次元蛍光スペクトル(EEM)の蛍光成分組成の地点間変動より解析した。また、各地域・各季節のDOM試料について微生物分解性、光分解性を調べるとともに、糖組成、アミノ酸組成を測定した。河口域では、見かけ上DOM濃度に地点間変動がない場合でも、腐植物質/非腐植物質比や蛍光成分組成に違いが認められ、上流から運ばれてきたDOMのうち失われた成分、光分解により変性して残存している成分、沿岸域で生成した物質が共存することで濃度が保たれていることが示唆された。また、DOMの組成について、マレーシア試料はフミン酸に富み、糖含量が低く、北海道試料はフルボ酸に富み、フロリダ試料は非腐植物質の割合が高く、糖特に植物由来糖が多いといった地域による特徴が明らかになった。一方、濃縮河川水を種菌として接種した培養試験では、各種DOMの減少速度は概ね類似しており、培養前後のEEMの比較から、分解したDOMは非腐植物質のみであったと推定された。また、疑似太陽光を用いた光分解試験では、DOM中の全ての蛍光成分が急速に減少し、その速度はフミン酸、フルボ酸>タンパク様物質であったが、試料間で各成分の減少速度に違いは見られなかった。これらの結果は、地域によらずDOMの組成に基づいてDOMの動態予測が可能であることを示唆した。
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Research Products
(4 results)