2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19405030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 隆久 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (70231529)
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Keywords | 遺伝子組換え樹木 / 熱帯早生樹 / 生物多様性 |
Research Abstract |
キシログルカナーゼ遺伝子を発現する組換えユーカリをイスラエルの圃場で野外試験した。キシログルカナーゼ遺伝子を発現する組換えマンギウムはインドネシアの圃場で野外試験する予定である。仏国、スペイン、米国、カナダにおける組換え樹木野外試験の状況と比較するとともに解析した。 東南アジア産業林で用いられている樹木の主な樹種は、アカシアマンギウム、ファルカータ、ユーカリ、そしてチークなどがある。ファルカータは、世界で一番成長の早い樹木である。インドネシア科学院では、ポプラセルラーゼを発現するファルカータの作出に成功した。続いてキシログルカナーゼを発現するマンギウムの作出にも成功した。現在、インドネシアでは、組換え樹木の野外試験は認められていないため、多くの植林会社がその推移を見守っている。昨年、林業省が組換え樹木の調査を行い、そのひとつとしてインドネシア科学院の組換えマンギウムが認証された。 遺伝子組換え樹木の野外試験は、カルタヘナ条約の理念を踏襲しつつ、法的手続き上は大きな違いがあった。特にわが国では、組換え植物のラインごとに申請書を作成しなければならない上に、それぞれ組換え植物のサザンプロットによるDNA解析と生物多様性試験の結果を添付しなければならないことになっている。それに対して、海外では宿主が同じであれば、導入する遺伝子が多種あっても、ラインがいくつあろうとも、申請書が一つで受け付けてもらえる。加えて、それぞれ組換え植物のサザンプロットによるDNA解析や生物多様性試験の結果も必要としない。なぜこのような違いが生じたのか検討していくうちに、わが国の組換え植物の審査が縦割り行政のもとに、文科省、農水省、環境省、経済産業省が、個別に執り行うことが一つの原因であることが分かった。海外では、組換え植物の審査の窓口は各国それぞれ一つしかないため、極めて単純化されている。遺伝組換え樹木の海外調査を行ううちに、わが国の行政上の問題点が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)