2007 Fiscal Year Annual Research Report
エイズ脳症とプリオン病の進行を調節する脳内分子シャペロン14-3-3の役割解析
Project/Area Number |
19500308
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
矢野 仁康 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (40304555)
|
Keywords | エイズ脳症 / 14-3-3蛋白質 / 分子シャペロン / ウイルス / 血液脳関門 |
Research Abstract |
<エイズ脳症発症のメカニズム解析:HIV-1gp120による血液脳関門破綻とその制御機構の発見と分子論的解析>HIV感染による中枢神経障害は、ウイルス自身か、ウイルスに感染した炎症細胞が血液脳関門(BBB)を介して脳内に侵入する事がその発症に不可欠と考えられている。そのためHIV感染によるBBBの障害機構を明らかにする事は、エイズ脳症の病態解明やその治法を確立する上で極めて重要な意味を持つ。BBBは主に脳血管内皮細胞と正常神経膠細胞から構成されているが、中でも脳血管内皮細胞間で形成されるタイトジャンクション(TJ)は、BBBのバリアー機能に重要である。最近、HIV-1のウイルス蛋白であるgp120やTatが、直接このTJを障害しBBBの破綻を引き起こす事が報告されている。これらの知見を踏まえ、我々は今回、ヒト脳微小血管内皮細胞(HBMEC)培養系の簡易BBBモデルを作成し、gp120による脳血管内皮細胞間のTJ構築障害と14-3-3蛋白質によるその制御機構について解析を行った。その結果、1)gp120は、ZO-1等のTJ構成蛋白質の発現低下を誘導する事でTJの崩壊を引き起こす事、2)gp120は、TJ構成蛋白質のプロテアソームによる分解消失を促進する事、3)RNAi法を用いた解析により、14-3-3τが、gp120によるTJ構成蛋白質の細胞膜から細胞質への局在変化とその分解を抑制している事を明らかにした。今回得られた、gp120による脳血管内皮細胞間のTJ構築障害機構の詳細は、エイズ脳症発症機序解明の重要な手掛かりとなる事が期待される。
|