Research Abstract |
本年度は,前年度に制作し,運動・感情評定調査を行った3種類の抽象的な3DCGアニメーションを使って,学校教育での身体表現・舞踊の学習や,地域社会でのインクルーシブな舞踊教育での舞踊創作の実践とその結果の検討を試みた.対象は,5歳児24名,4歳児20名,小学1年生36名,3年生36名,5年生36名,中学1年生40名,高校1年生40名,大学生10名,インクルーシブ・ダンス(幼児〜大人20名,中・高体育教員27名の計289名であった. (1)舞踊創作学習における3DCGの活用について 本研究で制作した3種類のCGのイメージ特性・運動特性は,ほどよい広がり保ちつつ特定の領域に収束傾向をみせ,このような抽象的な感性情報が,質の異なる表現創出支援として有効であることが実証された. (2)インクルーシブな舞踊教育での活用について 本研究での実践の試みに協力してくれた,性や年齢,障害の有無等のさまざまな差異のある多様な活動者においては,各々が3種類のCGに興味・関心を示す様子が確認された.小学校低学年の子どもであっても,抽象的な映像に戸惑いをみせるような様子は特にはなかった.今回の実践活動では,約40分間の流れとして行ってみたが,CGを見て表現を試行錯誤し,相互に発表しあうまでのプロセスは円滑に進めることができたまた,例えば大人と子ども,車いすにのる人と車いすではない人というように,発達段階や障害の有無が異なる人々が共同で表現を行う際にも,各自がCGから受け取った思い思いのイメージを自分なりの動きで表現する様子や,言葉を交えることなくCGを介してイメージや動きの質感を共有し,相互につながり合いながら,共同での身体表現が展開する様子が確認された.
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