2008 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血流動態から見た各種病態における運動耐容能および運動療法効果の検討
Project/Area Number |
19500621
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木村 穣 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (60298859)
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Keywords | インピーダンス / 運動負荷 / 末梢血流 / 運動代謝 |
Research Abstract |
前年度の検討により、漸増運動負荷時下肢インピーダンス変化を詳細に評価することが可能となった。この運動時のインピーダンスの変化は、運動強度の変化とともに増加するが、運動強度がある強度を超えると、運動強度の増加比率以上に変化する偏曲点が出現することが確認された。健常例30例において、この偏曲点を運動時の呼気ガス分析による運動耐容能の指標と比較した結果、呼吸性代償ポイント出現より約120秒前に出現することが確認された。このインピーダンス偏曲点の出現時間と、個人の運動耐容能を比較した結果、有酸素運動閾値および最大酸素摂取量と有意な正の関係を認めた。すなわち、運動能力が低いほど、インピーダンス偏曲点が早期に出現すると考えられた。また下肢の筋量を(他の)インピーダンス法による体脂肪計で評価し、インピーダンス偏曲点の出現時間との関係をみると、筋量の少ない例ほど偏曲点が早期に出現する傾向を認めた。 次に運動習慣のない健常例20例に約3ヶ月の運動療法を施行し、運動療法前後に運動負荷試験を施行し、インピーダンス偏曲点を求めた。運動療法は週2回以上のATレベルでの歩行、自転車エルゴ等に有酸素運動、レジスタンストレーニングを合計約60分施行した。その結果、運動療法によりATVO2、peakVO2は有意に増加し、体脂肪は有意に減少した。インピーダンス偏曲点の出現時間は有意に増加した。このインピーダンス偏曲点出現時間の増加率とpeakVO2の増加量は有意な正の関係を認め、また、下肢筋量とも正の関係を認めた。今後この運動効果とインピーダンス偏曲点の変化との関係を詳細に検討し、インピーダンス偏曲点の生理的意義を明らかにし、運動効果の新たな指標に同様に応用できるか検討する予定である。
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