2007 Fiscal Year Annual Research Report
被災した近現代歴史資料の救済のための簡便な真空凍結乾燥法の開発
Project/Area Number |
19500874
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
村田 忠繁 Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 技師 (50210042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 耕三 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
井上 美知子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (70223279)
大久保 治 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (30311492)
藤田 浩明 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (50344403)
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Keywords | 文化財科学 / 保存科学 / 被災資料 / 真空凍結乾燥 / 防災計画 / 危機管理 |
Research Abstract |
従前の科学研究費補助金基盤研究で開発した文化財科学分野での簡易型真空凍結乾燥機を改良し、災害時におけるレスキューや被災地での処置が可能な装置を目指し、同時により多くの被災資料を扱えるような装置の可能性を探ることを目的として、研究に取り組んだ。とりわけ本年後は保存科学の立場から、災害時における文化財レスキューに対応した簡便で可搬型の真空凍結乾燥装置の製作をめざした。従前の研究での成果として、発泡スチロール製のトラップを用い、冷却にはドライアイスを用いた。この装置は、少量の資料には有効であったが、連続して稼動させるにはドライアイスの消費量が多く冷却温度を一定に保つことが困難であった。 そこで今回は、コールドトラップを容量2リットルの丸底フラスコを-60℃まで冷却できる冷凍庫に取り付けるものとした。この冷凍庫はフラスコを取り外すことによって資料の予備凍結に用いることができる。資料室は、内寸直径が38mm、高さ100mmの円筒形で断熱性に優れたアクリル性樹脂製とした。運転は、常温で資料室にブルドン管式圧力計を装着して作動状況の目安とした。この装置の性能を調べるために、ピラニ真空計装着し資料を入れずに運転したところ15Paまで下がった。また、水漬け試料を-40℃で凍結させたものを凍結乾燥処理をした。厚さや大きさの異なる数種類の試料で、試料温度と資料室圧力は、例1:-12.3℃・230Pa、例2:-9.4℃・280Paなど、概ね昇華曲線状の数値を保ったまま乾燥が進行したため、凍結乾燥が行われていることが明らかにできた。 本装置が既存の装置と遜色がないことが言え、可搬型の特性を生かし、災害の防災計画や危機管理に応用したい。
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