2007 Fiscal Year Annual Research Report
組織構造と状況を考慮したモデルに基づく災害時情報伝達支援システムの開発
Project/Area Number |
19510171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲谷 美江 Osaka University, コミュニケーションデザイン・センター, 特任准教授 (30379317)
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Keywords | 災害時 / 情報伝達 / 組織連携 / 階層型組織 / コミュニケーション支援 |
Research Abstract |
今年度は、災害時情報伝達支援のうち組織連携支援と協調的意思決定支援について、具体的な支援機能開発とインタフェース設計にむけて事例の詳細分析を行った。これまでのコミュニケーションモデルでは、災害対応組織として行政、警察、消防を対象としてきたが、近年はボランティア組織の貢献が大きくなってきたことから、ボランティア組織との連携にも重点を置いた。災害時対応の組織は、普段から防災訓練などで災害対応を考慮しているため、災害発生時の混乱状況下においても適切な情報が得られれば適切な対応ができるものと予測できる。情報伝達先のアドバイスも、従来のコミュニケーションモデルを適用することが可能となる。しかし、ボランティア組織は、災害の大きさや内容によって組織構成や活動内容が異なるため、一般的な組織のコミュニケーションモデルを適用することが難しい。むしろ、個々の状況に応じた組織構造と情報伝達ルールを災害発生初期の段階でいかに迅速に電子化できるかがコミュニケーション支援の鍵となる。ここでいう迅速な電子化とは、入力方法を容易にするというより、計算機上でボランティアの登録から担当割り振り、スケジュール調整などの全てを一元管理できるような連続した機能とインタフェースの提供が望ましい。災害時には、計算機を通常の状態で使えないことも多いので、サーバを遠隔地に立てる、携帯インタフェースを活用するなどの配慮も必要となる。一方、組織内の協調型意志決定支援については、これまでは階層型組織内で意図と状況を共有化する手法を提案してきた。しかし、同じ対策本部でも県レベルと市町村レベルでは目的や問題意識のズレがあり、従来の手法だけでは齟齬が生じる危険があることが明らかになった。今後は、目的や意図を異にする成員間で意図と状況を共有化するためのインタフェースを開発し、評価していく。
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