2009 Fiscal Year Annual Research Report
組織構造と状況を考慮したモデルに基づく災害時情報伝達支援システムの開発
Project/Area Number |
19510171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲谷 美江 Osaka University, コミュニケーションデザイン・センター, 特任准教授 (30379317)
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Keywords | 災 / 情報伝達 / 組織連携 / 階層型組織 / コミュニケーション支援 / インタフェース |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、災害対応組織と組織外の人員(ボランティアや地域住民など)との情報伝達を支援するインタフェース機能の基礎実験を行った。被害が広域にわたる大規模災害では、消防や自治体などの災害対応組織のみで救済・復旧にあたることは難しく、ボランティアや住民の協力が不可欠で、本研究では主に住民からの情報収集や住民への情報伝達のインタフェースを検討する。災害後の混乱期には通常期のように文字情報を中心にした情報伝達ができない可能性が高い。そこで現場と組織間のコミュニケーションを、情報収集(現場から組織へ)と情報伝達(組織から現場へ)の二つの方向に分けて支援方法を検討してきた。昨年度までは、携帯電話など日常的な端末を介した現場からの情報収集について検討した。一方、組織から現場への情報伝達では、情報が必要な人に届かない、情報が届いても適切な行動が喚起されない、という問題がある。特に緊急情報は正確に認識されず、避難や災害対策が遅れる場合がある。一般の人向けには、情報の正確さだけでなく情報を受容して行動に反映されるよう、インタフェースの心理的側面を重視する必要がある。今年度は、緊急情報に接した時の行動とインタフェースの要素の関係についてさらに詳細な実験を行った。これまで危機感を喚起するといわれてきたインタフェースでも、年齢や性別によって危機感の感じ方が異なることがわかった。携帯端末を用いて情報が収集できるということは、逆に個人に情報を届けることも可能であり、将来的には個人の状況(現在地や身体的条件)に合わせた極め細やかな防災情報が提供できる。本研究では、状況に合わせた情報伝達支援設計のための基礎的なデータを集めることができた。
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