2007 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦下の日本人軍属と欧米女性-トランスナショナル・ヒストリーをめざして
Project/Area Number |
19510269
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
有賀 夏紀 Saitama University, 教養学部, 教授 (20114358)
|
Keywords | ジェンダー / 国際結婚 / トランスナショナル / 第二次世界大戦 / 人種 / インドネシア / オランダ / 歴史叙述 |
Research Abstract |
(1)第二次世界大戦下の日本人軍人、軍属と日本軍占領地域における欧米女性の関係の実態究明(2)戦争とジェンダー、セクシュアリティの関係についての理論的枠組の構築(3)多文化主義,トランスナショナルな視点からの歴史叙述を目的とした,本研究計画初年度にあたる本年度は,歴史的背景を理解し理論的枠組考察するために,研究書や論文を読むと同時に,実証的データをできるだけ多く集めることに努めた。データは,第二次大戦期に日本の軍医と結婚したヨーロッパの女性の聞き取り調査およびその周囲の生存者たちの聞き取り調査によって収集した。女性の聞き取り調査(現在進行中)を行ううちに,女性の数奇な生涯が第一次大戦後のヨーロッパ,第二次大戦下の日本軍占領歴史的状況によってもたらされたものであることを実感し,その女性の伝記を中心にした国際関係史の研究の可能性を認識するようになった。(3)の段階の叙述においては,これまで私が行ってきた視点とは異なる歴史の動因,つまり社会構造や集合的な文化ではなく個人の感情が大きな役割を果たすことが予想され,これを歴史に組み込むことは新たな挑戦になる。しかし歴史における感情,あるいは歴史研究における分析と叙述の関係は,近年歴史研究者の間で議論されている問題でもある。
|