2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510277
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 聖子 Fukuoka Women's University, 文学部, 准教授 (70401601)
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Keywords | 通婚 / 植民地 / 人種 / ジェンダー / 階級 / 国際関係 / 文化 / 軍隊 |
Research Abstract |
本研究は、植民地における性関係や「通婚・雑婚」、子どもの教育を通して、ジェンダー・人種・階級が人々の境界をいかに構築したかを明らかにすることを目的とした。21年度は、連携研究者3名と共にそれぞれの担当地域、すなわち日本植民地期の台湾(宮崎)、蘭領東インド(古田)、第三共和制期フランス植民地(松沼)、英国陸軍のグルカ兵(上杉)に関して収集した資料の整理、分析を行なった。植民者と被植民者の通婚の多かった仏領インドシナと蘭領東インドにおいては、「混血」の問題は大きかった。蘭領東インドでは,植民地化の当初、混血が常態であったが、本国民の東インド移入により人種の純粋竹が意識され、混血の社会経済的地位が低下していった。仏領のインドシナ等では、フランス法が保障する権利と保護を享受する「市民」と裁判で認定されるには、「フランス人の血統」を証明する要素として身体的外貌と文化・社会的素養とが重視された。日本植民地台湾では日本人と台湾人(漢族系住民)との通婚は少なく、混血は大きな問題とならなかった。日本は台湾領有の初期から台湾人を日本の民法下に治めようと企図したが、家族制度や財産相続の慣行の差異が大きく、結局それは実現しなかった。ただし総督府は1930年代以降、台湾人の子どもを日本式に育てることを女性に期待した。グルカ兵はネハール出身者を基盤に、旧東インド会社軍と旧英領インド陸軍、英国陸軍の三者によりつくられた。軍隊においてはアイデンティティ管理が重要となる。そのため国際関係や時代により状況は様々であるが、グルカ兵の男性は自ら、あるいは雇用者の期待に応えて、外国人との通婚を避けて民族・カースト内婚を行ない「純枠」なグルカ兵を再生産してきた。以上本研究では、いくつかの植民地における通婚・雑婚についての具体的様相と、ジェンダー・人種・階級がそれを規定する多様なあり方を明らかにした。
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Research Products
(9 results)