2008 Fiscal Year Annual Research Report
イブン・スィーナー『治癒の書』に関する比較思想史的研究
Project/Area Number |
19520074
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小林 春夫 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (70242229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 聡 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (40238788)
高橋 英海 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20349228)
仁子 寿晴 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究研究科, 客員准教授 (10376519)
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Keywords | イブン・スィーナー / イスラーム哲学 / 治癒の書 / ギリシア哲学 / バル・ヘブラエウス / ファーラービー / 回儒 / 形而上学 |
Research Abstract |
<本年度の成果> ・イブン・スィーナー著『治癒の書』(形而上学部分)アラビア語原典の読解と内容の検討をおこなった。具体的には同書「形而上学」部分の第1巻第8章までを、カイロ版、マルムラ版を基に、ムッラー・サドラーおよびナラーギーのアラビア語注釈、ラテン語訳、英訳(マルムラ)、仏訳(アナワティー)を参照しつつ精読した。これに通年で10回の定例研究会(午後2時より午後9時まで)を充てた。 ・本研究に関連するアラビア語写本の調査をイスタンブール(スレイマニエ図書館、イスラーム研究所)ならびにロンドン(大英図書館)で行い、多数の研究文献を収集した。 ・イブン・スィーナーの思想全般に関する研究をおこなった(研究代表者・小林春夫)。 ・ギリシア思想のイブン・スィーナーへの影響に関する研究をおこなった(研究分担者・堀江聡)。 ・シリア思想(とくにバル・ヘブラエウス)へのイブン・スィーナー思想の影響に関する研究をおこなった(研究分担者・高橋英海) ・ファーラービーおよび回儒思想とイブン・スィーナーとの関係に関する研究をおこなった(研究分担者・仁子寿晴) <意義、重要性> ・本年度も本研究の主目的である『治癒の書』原典の精読を着実に進めた。 ・翻訳・訳注を作成するための準備作業として、訳語の確定、データ入力、レイアウトの確定、特殊文字の処理方法について検討し、既読部分のデータを蓄積した。 ・研究代表者と分担者がそれぞれの専門領域において関連研究をおこない、最新の研究動向を確認した。 ・研究分担者の他に多数の大学院生も研究会に参加したことにより、イスラーム哲学研究の裾野を広げることができた。
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