2007 Fiscal Year Annual Research Report
『源平闘諍録』を基軸とした古代中世東国をめぐる軍記文学の基礎的研究
Project/Area Number |
19520133
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高山 利弘 Gunma University, 社会情報学部, 教授 (70197218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 勇 千葉大学, 人文社会科学研究科, 助教 (10323437)
栃木 孝惟 千葉大学, 名誉教授 (10008956)
小番 達 清泉女子大学, 文学部, 講師 (30424302)
清水 由美子 清泉女子大学, 文学部, 講師 (40424303)
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Keywords | 平家物語 / 軍記文学 / 東国圏 / 真名字表記 / 異本 |
Research Abstract |
平成19年度は,『源平闘諍録』をめぐる基礎的な問題点の把握と,このテクストの基本的性格を認識するために,4名の研究分担者および2名の研究協力者とともに,基本的な注釈を行った。具体的作業としては,全本文を20ブロックに分かち,メンバーが適宜分担して,すでに公刊されている釈文を再検討しつつ,担当箇所における本文の確定と,次年度以降に検討が必要な内容上の問題点の指摘を行った。また,同じ東国圏での成立が想定される「真名本曽我物語」および「四部合戦状本平家物語」には見られない特異な用字および難読文字についての整理し,その背後にある文化圏および文化的状況を把握することの必要性が確認された。 『闘諍録』本文の成り立ちについては,延慶本的本文を先行本文と見,そこからの省略本文と見方がなされているが,『闘諍録』独自の表現も随所に見えており,延慶本的本文を省略することによって成立したとは言い難い面もある。また,「四部合戦状本平家物語」的な本文との関わりを想定すべき箇所も見出される。近時の延慶本研究において,現存の応永書写本には新しい部分が存在することが明らかとなり,従来の延慶本をめぐる評価の見直しを迫られたが,このことは『闘諍録』本文の成り立ちをめぐっての再検討の必要をものがたっている。それと同時に,『闘諍録』研究の深化は,平家物語諸本全体の問題への新たな視点を提供すると考えられる。 なお,注釈作業を通して指摘された問題点が予想以上に多岐にわたったことから,今年度中に予定していた巻八上の後半部分と巻八下の検討については,次年度に持ち越すこととなった。
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Research Products
(1 results)