2009 Fiscal Year Annual Research Report
初対面コミュニケーションにおける話題管理スキーマに関する日米中韓対照研究
Project/Area Number |
19520458
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三牧 陽子 Osaka University, 留学生センター, 教授 (30239339)
|
Keywords | 初対面会話 / 話題管理スキーマ / 話題選択 / 話題の展開 / 談話分析 / 自己開示 / 日米中韓対照 |
Research Abstract |
1 データベースの作成 平成19年度、20年度に収集した日本語、米語、中国語(北京・台湾)、韓国語の社会人同性二者間の初対面会話データの整理を進め、会話の中で出現した話題を共通の基準によって大話題と小話題として抽出し、話題リストを含むデータベースを作成した。 2 話題選択スキーマについて 女性データの分析から、日米中韓に共通性の高い話題選択スキーマ(6割以上のベアが選択)として「仕事」「アイデンティティ(自己紹介等)」「共通点(会話実験参加)」「居住」の4カテゴリーが、一方、特定文化のみのスキーマとして、「キャリア」(米中)、「趣味・楽しみ」(日米中)、「恋愛・結婚」(中韓)が、それぞれ見出された。 3 自己開示について 自発的自己開示と自己開示要求の比率を分析し、中国語/韓国語ペアでは「勤務先名」「結婚・恋人の有無」等について自己開示要求が盛んであるのに対し、日本語ペアでは厳しく回避されていることから「社会的な自己」と「プライベートな自己」との境界が日中韓では異なることを実証した。また、事実のみを述べるに留まる日本語ペアと「自己の価値観や見解の開示」が活発な中国語・韓国語ペアとは対照的であることも示した。 4 話題の展開について 日本語ペアは異なり大話題数が最も少ないが、それは、いったん選択した大話題内で関連のある小話題を整然と展開することによること、一方、中国語・韓国語ペアでは異なり大話題数が多く、同一大話題が3回以上再帰する頻度も高いため延べ話題数も多いことを明らかにし、話題のマクロな展開の方法に関する言語ごとの特徴を実証的に示した。また、日台中ベア話題展開部に焦点を当ててミクロに分析した結果、日本語ペアでは話者が協働的に言語的、非言語的な話題転換表現を用いながら転換する(76%)のに対し中国語(北京、台湾)ペアでは話題転換表現なしの「突発的変換」が3割に上ることが明らかになった。
|