2009 Fiscal Year Annual Research Report
外国人児童の母語学習支援をめぐるネットワーク形成の国際比較
Project/Area Number |
19520461
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松田 陽子 University of Hyogo, 経済学部, 教授 (80239045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
乾 美紀 神戸大学, 国際交流推進本部, 特命准教授 (10379224)
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Keywords | 外国人 / 母語学習 / ネットワーク / NPO / 学校 |
Research Abstract |
兵庫県の母語教育支援センター校等4校の母語教室(ベトナム語、中国語、スペイン語)で集中的1にフィールド調査、母語教室卒業生の聞き取り調査、支援NPOでの聞き取り調査を実施した。その結果、母語学習支援体制の課題として以下の5点を抽出し、勘案すべき対応策についての提案をまとめた。 1 外国人児童の多様性-実態を明確に分類し、母語と日本語力の簡便な評価測定法を開発。 2 母語への否定的意識と低い学習モチベーション-母語・母文化を学ぶ意義や学習目標の明確化と肯定的意識を高める母語教室の運営方法の開発。NPOや行政との協働の必要。 3 日本人児童・教師の母語教室への関心の欠如-学校全体の取り組みによって多様な言語・文化への価値意識を高めるプログラムの開発。 4 適切な教材・教授法の未開発-多様な言語レベルの児童が学べる学習デザインの提言。NPOの専門的知識や機動力の活用。 5 母語教育に関する知識や情報共有の不足-母語教育やバイリンガル教育に関する知見の共有化のための情報提供システムの開発。NPOとのネットワークの活用。 国際調査では、オーストラリア・タイでの母語学習支援体制について、現地調査を行った。オーストラリアでは、政府が母語教育のための資金援助を行い、組織間ネットワークを形成して、教育の質を高めるための教師の研修や教材・教授法の開発がなされていることが明らかになった。現地で入手した教材や、母語教育に関するシラバス等を参考として、日本の現状に適合する教材開発や母語教育カリキュラムの作成についての知見を得ることができた。 母語学習支援は、日本では未発達の分野である。本研究では、母語学習の意義や問題点・課題を、教育現場での詳細を調査から把握・分析し、理論的に整理した。日本人児童を含む、学校や保護者や地域社会全体の変容を視野に入れ、NPOや行政とのネットワークを活用した母語教育システムを開発していくべき道筋を明らかにしたことに意義がある。
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Research Products
(10 results)