2008 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代中期における対外交渉の特質と地域圏の形成・展開過程
Project/Area Number |
19520666
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Research Institution | Nara National Museum |
Principal Investigator |
吉澤 悟 Nara National Museum, 学芸部, 教育室長 (50393369)
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Keywords | 対外交流 / 5世紀 / 五条猫塚古墳 / 武器・武具 |
Research Abstract |
本研究は、日本の国家形成期における対外交流の実態を、渡来系文物の検討を通じて把握しようとするものである。検討の対象とした奈良県五条猫塚古墳は、蒙古鉢形冑をはじめとする渡来系要素の濃い副葬品の出土で有名な五世紀の古墳である。 昨年度以来、この古墳から出土した鉄製武器・武具類を中心に実測図作成とX線写真撮影を進めてきたが、挂甲の小札や農耕具などの整理が残されていたため、本年度はその実測図化を重点的に行った。また、図化やX線写真のみならず、報告書や資料公開に備えたトレースや個別遺物のデータベースの作成にも作業を進めている。資料整理が進むにつれ、これまで不明確であった鉄製武具の技術的特徴が明かになってきており、メンバー内でその確認や意見交換を行う小検討会も実施した。 他遺跡との比較や周辺環境との関連性については、未だに情報を集めきれておらず、次年度の課題として残された。次年度は、これまでの調査で不十分であった部分、とりわけデータベース作成を完成させることを第一として急ぎ、またこの3年間の調査成果の一部を学会に発表すべく、既存メンバー内外からのアドバイスも受けながら、検討会や打合せを数回実施する予定である。
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