2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19529003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁木 夏実 Osaka University, 文学研究科, 助教 (40367925)
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Keywords | 鎌倉時代漢詩文 / 『鳩嶺集』 / 影供 |
Research Abstract |
本研究は、「中世前期貴族社会における漢詩文の基礎的研究」の課題名のもと、平安時代後期から鎌倉時代にかけて、主に京都の貴族社会において制作された漢詩文について基礎的研究を行うことを目的としている。今年度は交付申請書で掲げた中から主に以下の二つの研究計画に沿い、研究課題に取り組んだ。 (1)基礎資料の収集と整理当該期の漢詩文については各所に所蔵されながらいまだ紹介されていないものも多く、それらの調査と紹介が急がれている。今年度は以前より研究を行っている石清水八幡宮関連の漢詩文の摘句集『鳩嶺集』について、石清水八幡宮(京都府八幡市)にて調査を行った。既に公刊されよく知られていた旧菊大路家所蔵本とその転写本である旧田中家所蔵本の二本に加え、江戸時代の写本と見られる零本一本の存在を確認し、調査を行った。また、国立公文書館現蔵(旧林家所蔵本)の「十番詩合」について調査を行い、鎌倉時代後期の儒者菅原在久(1250〜1288)が判を加え、同じく藤原淳範(1247〜1315)が注を付した、鎌倉時代漢詩資料の一づであることを確認した。在久は『鳩嶺集』の主要作者の一人であり、当該期の儒者として注目すべき存在であることが判明したことも本調査の収穫の一つである。 (2)研究成果の発表11月2・3日にハーバード大学ライシャワー研究所で開催された国際会議「BEYOND BUDDHOLOGY : NEW DIRECTIONS IN THE STUDY OF JAPANESE BUDDHISM」において、「絵の前の文学空間」と題した研究発表を行い、中国中唐の詩人白居易の画像の前で行われた詩作を中心に、尊仰する人物の画像の前で行われた文学制作のいとなみ(影供)について考察し、平安時代後期から鎌倉時代にかけての文学制作の一端の解明を試みた。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] 絵の前の文学空間2007
Author(s)
仁木 夏実
Organizer
国際会議「BEYOND BUDDHOLOGY」
Place of Presentation
ハーバード大学ライシャワー研究所
Year and Date
2007-11-03