2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19529003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁木 夏実 明石工業高等専門学校, 一般科目, 講師 (40367925)
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Keywords | 漢詩文 / 水戸藩 |
Research Abstract |
中世前期の京都を中心とする貴族社会における漢詩文資料の収集と整理という研究目的達成のために実施計画では、(1)中世前期漢詩文基礎資料の収集と整理、(2)中世前期における漢詩文制作の背景および儒者の研究、という2つの柱を立てたが、昨年度に引き続き、今年度も(1)が中心となった。 江戸時代、藩主徳川光圀の指導のもと、『大日本史』という一大成果を挙げた水戸徳川家には、現在もその編纂資料となったものを中心に数多くの貴重な資料が残されている。その資料の多くは現在水府明徳会において管理されているが、そのレファランスルーム(東京都世田谷区)において、数度にわたり『詩集』という資料の調査を許された。これは、江戸時代に成立した、奈良時代から江戸時代までの本朝漢詩を集成したものであり、現在『本朝文集』と名付けられて『国史大系』に収められる、同時期の本朝漢文の修正の対となるものでありながら、現在までほとんど紹介されていない資料である。調査の結果、その体裁と現状、及び収集の方法や編纂に使用された資料の特色などについて大きな知見を得ることが出来た。9月には学会においてその途中経過や他の類似資料との比較について報告し、席上有意義な教示を得ることができた。 その後、『詩集』の原資料となった『詩纂』という資料を東京大学史料編纂所において調査する機会があったので、その結果を加え、論文化する予定である。
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