2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530024
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
紙野 健二 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (10126849)
|
Keywords | 行政の公共性 / 行政領域論 / 公共性論 / 法治主義 / 法治主義 / 現代国家 / 方法論 / 民主主義 |
Research Abstract |
平成19年度は、この研究の本来の目的である公務観念の再構成を基礎とした行政法学を再編成しようとするための基礎作業として、従来の行政法学のこの問題についての到達段階を確認し、そこから今日的課題を抽出しようとした。 その作業の一環として、大戦後の日本の行政法学の理論的指導者の一人であった室井力教授の業績をあとづけて、これを検討した。すなわち、伝統的公法私法や法律による行政観念に対する批判的検討、個別的人権保障からの行政法体系の再構築の志向、その発展形態としての行政領域論、および80年代から世紀末までの行政改革を契機とした公共をめぐるせめぎあいという展開の歴史的および今日的意義を提示した。そこで必ずしも明示してはいないものの、むしろ理論課題として私が意識しているのは、行政改革から構造改革へとの展開を背景に、公共のあり方とその位置づけが大きく展開してくることの問題整理と分析である。その核心こそ、主体論の希薄化であって、行政の対応能力の低下や機能不全と代替制度の整備によって、主体の多様化が進行するのである。ただ、その多様化は、それに付随する条件整備が不可欠であり、その検証作業が必要となるはずである。今年度は、その構想の一定の練成をすることができたので、具体化は、次年度の課題である。
|