2008 Fiscal Year Annual Research Report
労働紛争の調整システムにおける理論基盤および調整技法の研究
Project/Area Number |
19530046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 進 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久子 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50336038)
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Keywords | 労働紛争 / 紛争調整 / あっせん / 調停 / 仲裁 / ADR / 技法 / 労働審判 |
Research Abstract |
本研究の研究期間のうちの2年目である昨年度は、1年目に実施した諸外国の労働紛争解決機関における調査の情報をとりまとめ、雑誌論文として公表するとともに、さらに聞き取り調査を続行した。さらに、それらの成果および収集した資料をもとに、研究課題に関する理論研究を深化させて、より体系的な理論を構築する作業を開始した。具体的には、次のような活動を行った。 第1に、諸外国(フランス、韓国、中国)における、労働関係紛争の調整的解決につき、そのとりまとめを雑誌論文に公表した。現在のところ、昨年6月にフランスの労働審判所(パリ、リヨン)における調停の機能と実際について、および本年2月に中国の労働仲裁制度等について調査結果を公表した。引き続き、韓国および台湾についても、各調査結果を、ひとまず雑誌論文として公表することにしている。 第2に、本研究では、これまでほとんど先行研究のなかった、諸外国の労働関係紛争における調整的解決の諸制度とその実施状況を調査することを重視していることから、昨年度は、引き続き外国および国内の制度調査と資料収集を行った。昨年度は台湾、韓国における調査を行い、国内については北海道労働委員会のヒアリング調査を行った。第3に、およそ昨年度末頃から、本研究課題に関する情報の集積をもとに、より体系的に理論化する作業を開始した。特に、個別労働紛争の調整的解決において、(1)都道府県労働局の行うあっせん、(2)都道府県労働委員会の行うあっせん、(3)労働審判所の行う調停について注目し、それらの機能、実務のあり方、法的位置づけ、相互関連などの問題について、諸外国の調査による知見に基づき、体系的な理論化を試みている。さらに、これらを総合して、労働紛争の調整的解決の積極的意義をとらえ直し、発展の方向を展望する。 なお、この最後の課題は、主として最終年度に実施する課題であるが、その予備作業としてすでに理論構築を試みてきたところである。
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