2008 Fiscal Year Annual Research Report
我が国企業の海外における事業活動と法令遵守プログラム
Project/Area Number |
19530067
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長谷川 新 Shizuoka University, 人文学部, 准教授 (00277740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 昭成 国土舘大学, 法学部, 准教授 (90329061)
坂本 真樹 静岡大学, 人文学部, 准教授 (40467220)
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Keywords | コンプライアンス / 公正開示規則 / クレイトン法 / prima facie evidence / 暫定的差止命令 / EC条約82条 / 不当な高価格設定 / 量刑ガイドライン |
Research Abstract |
本年度は、欧米で事業展開を行う企業の法令遵守体制の整備・構築に重点を置いて研究を行った。昨年来取り組んでいる司法取引に基づく有罪判決がクレイトン法4条に基づく後続私訴の証拠たりうるかについては、クレイトン法5条(a)項但書の解釈と併せ、依然として困難な問題であるが、調査の進展に併せて有益な示唆を得つつある。また、今年度は、更に、今後、米国内における企業をめぐる民事訴訟において重要な役割を果たし得るものと思われる暫定的差止命令についての基礎的な研究を試みた。企業をめぐる紛争局面において、エクイティ上の救済である暫定的差止命令を用いた柔軟な救済措置の可能性を探ることは、原告、被告両者の負担・損害の拡大を防ぎ、和解をはじめとする合理的な紛争解決措置の可能性を探ることでもある。そうした観点に基づき、暫定的差止命令に関する適用要件の伝統的な解釈を踏まえた上で、同制度を「当事者の効率的な行為を引き出すインセンティヴ」とする新しい枠組みの構築を検討した。欧州については、引き続き、EC条約82条に特有の概念である、不当な高価格設定の概念について研究を継続した。今年度は、特に、EC条約82条第2文a項において市場支配的地位の濫用行為の一例として挙げられている不当な価格設定の一類型とされる超過価格設定について、先例とされる事件を検討し、超過価格とは、供給される当該商品の経済的価値に対して合理的な関係がないことから過度である価格であり、その違法性については、並行輸入の阻害、および、当該商品の輸出入が人為的な価格設定により阻害されることに見出される可能性があること、その判断基準については、真の経済的価値と比較して超過していることが挙げられていること、等々を明らかにした。次年度は、更に、「EC条約82条における超過価格設定の概念の展開」、並びに「超過価格設定に対する優越的地位の濫用規制の適用」等のテーマへと研究を発展させてゆく予定である。
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Research Products
(2 results)