2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530161
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤尾 健一 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Keywords | 多様性関数 / 属性アプローチ / 群集の機能的連関 |
Research Abstract |
本年度は、第1にこれまで2年間の理論的な研究を総合することを試みた。生物多様性保全に関わる2つの理論的問題は、第一に多様性の価値を表現する適切な多様性関数の特定化であり、第二に多様性喪失がもたらす結果に関する不確実性の表現である。両者は形式的には確率キャパシティとして表現される。また、生態系サービスの価値を除いた生物多様性の価値は、flexibilityの価値、あるいはoption valueとも解釈され、概念的にも多様性関数には不確実性が密接に関係している。その関係を理論的にどのように整理できるか、また多様性関数を単なる測度関数ではなく多様性関数として意味あるものにするために、それにどのような制限を加える=構造を特定化するか。本年度行った生態学者、複雑系研究者、環境経済学者とのワークショップや、これまでの実態調査の結果を踏まえて、これらの課題を考察しているが、未だよいアイデアを得るに至っていない。もう1つの本年度の研究成果として、生物多様性保全の実現のための諸課題に関わる理論研究も遂行した。第一に問題が持続可能性に関わることに関連して、持続可能性が経済学的に支持される条件を明らかにした(Akao, 2009)。第二に、生息地の保全に密接に関わる共有資源の利用問題に関する理論的な考察を行った(Akao and Sorger, 2009)。第三に、生物多様性が発展途上国の開発と資源保全問題と密接に関わることから、貿易自由化が発展途上国の開発と資源保全に及ぼす影響をモデル分析した(Akao, mimeo)。
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