2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530214
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
浅井 澄子 Otsuma Women's University, 社会情報学部, 准教授 (00329476)
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Keywords | 音楽 / レンタル / ヒット要因 |
Research Abstract |
本研究の目的は、産業構造やメディア環境の変化のコンテンツの多様性に与える影響を計量経済学の手法を使って明らかにすることである。初年度では、コンテンツの多様化の程度を示す指標を検討し、その指標を使って、コンテンツ分野における製品差別化の程度について時系列分析を行った。2年目に当たる平成20年度では、その研究成果を踏まえ、コンテンツの配信手段の増加が、我々に多様なコンテンツに接する機会を提供しているのか、あるいは、消費者のコンテンツ入手手段の選択肢の拡大にすぎないのかを検証した。ここでは、音楽を対象に2点について分析を行い、以下の結論を得た。 1点目の分析は、音楽CDの販売とCDレンタルとの関係についてである。レンタル回数の年間上位300タイトルを対象に、CD販売とレンタル回数の需要関数を連立方程式体系で推定し、両者の関係を分析した。その結果、消費者はアーティストの属性等によって、CD購入とレンタルを使い分けており、CDレンタル制度の進展がCDの販売を阻害するものではないこと、CD販売開始から長期間レンタルを禁止することは、CD販売の増加につながらない一方、レンタル回数を減少させることを明らかにした。 2点目は、2期間の音楽CDを対象に、週刊ヒットチャート上位100に入ることをヒットした状態と定義し、差別化とは逆の現象であるヒットの要因とその変化をサバイバルモデルで分析した。その結果、消費者及び供給側の双方がアーティストの属性等によって、シングルとアルバムを使い分けていること、過去の実績があるアーティストが出演するCDは、ヒットの確率が高くなること、近年の方がヒットの回転率が上昇し、消費者は多様なコンテンツに接していることが明らかになった。
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