2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530214
|
Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
浅井 澄子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (00329476)
|
Keywords | 地上放送 / BSデジタル放送 / 番組ジャンルの多様性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、産業構造やメディア環境の変化のコンテンツの多様性に与える影響を計量経済学の手法を使って分析することである。これまでは、音楽を対象とする分析を中心に行っていたが、今年度は、主たる研究対象を放送に移し、番組ジャンルを単位とする以下の3点についての分析を行った。 1点目は、2009年8月第1週目の番組表データを用い、NHK、在京キー局5局、独立局2局の垂直的多様性、水平的多様性、チャンネル独自性の指標を使って番組編成の分析を行った。その結果、公共放送局と民間放送局、ならびに、民間放送局の中でも、在京キー局と独立局という形態が異なる放送局間では重視する番組ジャンルが異なることが示された。このことは、形態が異なる放送局が存在することによって、視聴者が選択可能な番組ジャンルの選択肢が増すことを意味する。この一連の分析結果は、平成22年度に発行された雑誌に査読付き論文として掲載された。 2点目は、同一局あるいは資本関係がある放送局間で、異なる番組編成がとられているのか、類似の番組編成がとられているのかについて、2010年における8週間の地上放送局とBSデジタル放送局の合計14チャンネルを対象に乖離指数を使って検証した。検証の結果、1つの組み合わせを除き、資本関係がある放送局間では、番組編成の差別化が図られていることが明らかになった。 3点目は、経営状況や競争の進展等のメディア環境の変化が地上放送局の番組編成に与える影響を考察するため、1985年から2010年の番組ジャンル別放送時間の推移について考察を行った。その結果、各局に共通して特定の番組ジャンルの放送時間が時系列で高まっており、経営が悪化したとき、その傾向が顕著であったことが示された。
|