2008 Fiscal Year Annual Research Report
中欧資本主義の比較経済学的考察:国際体制編入形態と国内経済社会制度・政策の関連
Project/Area Number |
19530235
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀林 巧 Kanazawa University, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
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Keywords | 経済政策 / 経済体制 / 比較経済学 / 中欧資本主義 / 国際体制 / ポスト共産主義 / 資本主義の多様性 / 体制転換 |
Research Abstract |
中欧資本主義の比較経済学的考察という本研究課題遂行のため現地調査・内外専門研究者との学術交流及び文献収集・読解を行った。 (1)現地調査(2008年9月)はハンガリーで実施したが、ハンガリーの商業銀行OTPの幹部からの聞き取りなどを通じて、中欧諸国では外資系金融機関が圧倒的であること、それらの外資系現地法人は外貨建て住宅ローン、自動車ローンなどに力を入れており、企業への融資はハンガリーを除けばそれほど大きくないことが明らかとなった。現地調査以後に起きた国際金融危機の影響はハンガリーをはじめ中欧諸国で大きかったが、それは外資系金融機関現地法人の融資削減に起因している。中欧資本主義の金融分野での過度の外資依存の問題が明らかになったといってよい。 (2)在ブダペストILOサブリージョナル・オフィスの労使関係専門スタッフ等との交流を通じて、中欧に多く進出している外資系製造企業の労使関係についていえば、ドイツ系現地法人においてドイツ的労使関係が一定程度持ち込まれているものの、一般的にいえば中欧諸国の労働組合の影響力は大きくないことが明らかになった。 (3)文献読解及びイギリスでの学術交流(バーミンガム大学ロシア東欧研究センター)を通じて、スロヴァキアが減税政策などを通じて、外資導入面でハンガリー、チェコなど先行国に追いつこうとしていること、またスロヴァキアの社会政策にはEU社会政策の近年の傾向(勤労福祉)が強い影響を及ぼしていることが明らかになった。 以上のような成果を研究代表者は(主に関西在住の研究者が会員である)「比較経済体制研究会」において報告するとともに、成果の一部を11の欄記載の論文にも反映させている。まだ解明すべき論点は残されているものの、平成20年度に研究課題に関する論点解明に向けて一定の前進がみられたと考えている。
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Research Products
(3 results)