2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530411
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
中嶋 隆一 Meikai University, 経済学部, 教授 (50217733)
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Keywords | スイス / 欧州 / 国際会計 / 会計制度 / コンバージェンス / FER / SWX |
Research Abstract |
今年度の研究では、主にFERの改正について調査・研究を行っている。改正前FERの目的は、連結財務諸表と同様に個別財務諸表の比較可能性と情報の質を改善し、またFERを国際的な会計基準と対等性を有するようにすることであり、会計に関する現行法の法的要件を補完し明瞭にして、特定問題に指針を提供することが意図されていた。 今回の改正では、明らかにスイス国内の影響を受ける中小企業(企業集団を含む)向けの財務報告基準の作成と確立にシフトし、FERの位置づけを明確にしたものといえる。その理由は、FERがIFRSおよびUS GAAPと比べ、少々国際的な影響力に乏しいこと、予算の制約に縛られ基準設定の範囲が制限されること、などが挙げられる。 その結果、小規模企業の適用基準を設け、該当企業にはコア-FER(1〜6)のみを適用することで財務報告情報の過重負担を回避し、僅かな核となる勧告(基準)の遵守により、情報価値のある報告書の作成が可能になるように配慮されている。基準に該当しない企業については、さらに13個からなる拡大FERの適用を勧告しているが、保険会社、NPO等については別個業種別FERが設定されいてる。 企業集団(連結企業)にはFER30を適用し追加情報の提供を明記している。ただし、小規模企業基準を適用して該当するこ規模企業集団については、コア-FER(1〜6)とFER30の適用だけで財務報告を可能とし、情報の過重負担とコスト増加を回避する工夫がなされている。 なお、概念フレームワークは全企業(企業集団)を対象とした財務報告上の基本となっている。以上の研究を踏まえ、今後はスイスのFERを中心とした動向、IFRSとのコンバージェンス問題、および日本基準との比較可能性を考慮に入れた内容の研究が必要である。
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