2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530411
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
中嶋 隆一 Meikai University, 経済学部, 教授 (50217733)
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Keywords | スイス / 欧州 / 国際会計 / 会計制度 / コンバージェンス / IFRS / SWX |
Research Abstract |
今年度は、スイスGAAP FERのスイス国内での位置づけ、その具体的規定内容、IFRS(国際財務報告基準、IASを含む)とのコンバージェンスに係る問題、および日本基準をとりわけ中小企業への適用基準の問題を考慮に入れて研究対象としてきた。 昨年度の研究で明らかにした2007年度から実施しているFERの新構想では、企業規模別に3つの適用段階を設けている。このうち小規模企業についてはFER30のうち、コアーFER(1~6)が適用可能基準となっている。その条件は、連続した2会計期間の内つぎの2つの基準を超過しなければ、コア基準の適用が可能となる点である。すなわち、資産総額1,000CHF,年間売上高2,000CHF,および年間あたり(フルタイム)従業員数50人のいづれか2つである。 これらの条件はEU各国の中小企業への適用基準と類似しておりEUに加盟していないスイスも同様に統一化されている。FERはSWX(スイス証券取引所)で認めらている上場基準の一種であるが、基本的には国内で活動している企業に限定される。上場企業のうち、大規模企業、連結企業についてはIFRSあるいはUS-GAAPの適用に基づく財務諸表の作成が義務づけられているが、IFRSへのコンバージェンスが問題となっている昨今ではスイスでも上場基準の規定が変更されることはあり得る。 日本の中小企業については「中小企業の会計に関する指針」が存在するが、スイスではFERに収斂している。また財務諸表を作成する目的を考えれば、「税額」計算および金融機関からの「借入」という点で、どちらの国も利用の程度は同一のように思われる。これまでスイスは、税額計算については商法上の年度決算書が基礎資料として役立っているが、将来的にはFERの適用でも可能となる可能性がある。今後ともFERの継続研究が必要である。
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