2008 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒の多面的目標によるピア・ラーニング・プロセスの促進に関する研究
Project/Area Number |
19530589
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 素之 Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (60303575)
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Keywords | ピア・ラーニング / 社会的目標 / 動機づけ過程 / 児童 / 分数 |
Research Abstract |
研究目的:本研究では,近年注目されているピア・ラーニング(例O'Donnell & King,1999)のうち,児童の学習過程に深い関わりをもちうるが,これまでわが国でほとんど研究がみられないピア・モデリング(Schunk,1998)に焦点を当て,児童の動機づけ過程に影響を及ぼすモデリングの効果について検討する。その際,近年注目される多面的目標(例Patrick, Anderman, & Ryan,2002)概念から,ピア・モデリングに及ぼす社会的目標の効果について検証することを目的とする。友人から学ぶモデリングの際,他者との関係姓や社会的な規範への志向である社会的目標が,学業的要因とは区別される独自の影響を与えていることが予想される。モデリング条件には自己決定理論に基づき,内発モデル(全セッションを通して高い興味を示す),内在化モデル(課題の進行に伴い興味を高めていく)を設定した。 方法:対象大阪府A市の公立小学校5年3クラスの児童78名(男子37名,女子41名)。動機づけモデル(内発・内在化)×社会的目標(親密/向社会)×時期(事前・事後)を独立変数とした2×2×2の要因計画。従属変数は分数の学力テスト,効力感(事前・事後測定)。 結果:分数の学力テスト,効力感に対して,事前の学力テスト得点を共変量とする共分散分析を行った結果,効力感に関して親密目標の主効果で有意傾向が見られた(F(1,80)=3.03,p<.10)。親密目標を高くもつ児童は,分数における友人からのモデリングを通した学習によって,学習への効力感や動機づけを高めている可能性が示唆された。
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