2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者のための認知機能活性化アプローチによる系統的プログラムの開発
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19530612
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 克夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50282314)
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Keywords | 認知症 / Cognitive stimulation therapy / 非薬物的アプローチ |
Research Abstract |
本研究では,認知症高齢者のための認知機能活性化アプローチによる系統的プログラムの一つであるCognitive Stimulation Therapy Japanese Version(CST-J)を開発し,その効果について検証した。介入群21名,統制群28名に対し,シンブルブラインドによる無作為化比較試験を行った。群別×介入期前後の分散分析を行った結果,認知機能検査(MMSE,COGNISTAT)の成績について,有意な交互作用がみられ,介入群では統制群に比べ得点が有意に改善していることが明らかにされた。また,認知症高齢者自身により評定された気分尺度(Face Scaleを用いた評定),対象施設の介護者により評定された認知症高齢者のQOL尺度(QOL-AD,EQ-5D)の得点に関しても,同様に有意な改善が認められた。次に,参加者のうち12名に対し,介入期間中に,CST-Jのデイ活動に関する認識について調査したところ,半数は活動教室名を提示すると参加していると答えられた。また,参加の認識のある人々の大半は,活動の時間帯,活動内容について認識できていた。加えて,CST-Jの感想について,ほとんどの参加者が「面白い」「楽しい」と回答していた。それゆえ,CST-Jは,我が国の認知症高齢者の機能や生活を改善させるために有効なツールであり,効果的な非薬物的介入法となりうることが示唆された。さらに,ロンドンにおいてオリジナルセッション(3か所)について実際に参加し,CSTの実際について実地調査を行ったところ,特にスーパーバイズの仕組みが整っていることが明らかにされ,今後,日本においても同様の仕組みを整えていくべきであると思われた。
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