Research Abstract |
本研究は,キャンパスにおける事件・事故等の危機対応システムに関してコミュニティ心理学的な観点から臨床実践的な研究を行うことを目的としている。 研究1年目の平成19年度は,まず,大学生の関係する過去に報道された事件や事故について,データベースのレビューを行った。その結果,事件において加害と被害に分け,殺人や強盗,傷害,暴行など18分類でどのような危機がどの程度起こるかを集計し,マッピングした。 つぎに,平成18年度学内で緊急対応した事例について調査を行い,50件の対応ケースについて,問題による分類,対応の内容や役割等を考察した。その結果,不登校,精神科的問題,自殺関連問題,破壊的カルト,ストーキング・DVの件数の順で緊急対応していた。対応においては,多様な立場の教職員や専門機関との連携が必要であり,カウンセラーはコーディネート機能を果たす役割が重要であることが明らかになった。また,個別の事例研究として,デートDV,自殺企図,いじめ・暴力事件の3事例について検討した。その結果,対応の主体および役割分担の問題,情報や記録の集約や報告についての問題,大学執行部との連携や報告の3点がシステムづくりにおいて特に重要であることが明らかになった。 さらに,マスコミで報道されて以来,対応のニーズが高まったカルト問題について事例研究を行い,大学キャンパスにおけるカルト問題の予防・啓発やカルトに勧誘された学生への対応,学生がカルトに入っている時の対応,脱会支援のための保護者との連携などについて考察した。
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