2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋戦争と教育科学研究会の発足・解散・再建
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19530718
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 広美 Tokyo Kasei Gakuin University, 家政学部, 教授 (20205959)
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Keywords | 勝田守一 / 教育科学研究会の解散と再建 / 戦後教育改革 / 教育学における倫理的な問い / 子どもと生活綴方 / 教育の中立性 |
Research Abstract |
再び、坂元忠芳東京都立大学名誉教授を招いて、報告会と聞き取り調査を行った。坂元氏は、教育科学研究の初代委員長であり『教育』の初代編集長であった、故勝田守一東大教授(1908年から1969年)の教育学について、報告を行った。 今回、2回目は、前回の戦前から戦後初期の文部省内における勝田の活動についての検討を踏まえ、とくに、1950年代における勝田の教育学を話した。この報告会には、聞き取り調査を兼ねて、調査協力者である細金恒男(早大教授)と前田晶子(鹿児島大学准教授)の同席を願った。 坂元氏は、1950年代、勝田は、教育を社会的歴史的過程として促えながらも、教育学の基底的概念である「教育的価値」とは何であるかを、探求したとした。その際、デュルケム理解をめぐって、堀尾輝久の「教育の中立性」論文に大きな影響を受け、教育の社会性概念把握に問題を残したという仮説を提起した。これは今後の重要課題だと思われる。 筆者佐藤広美は、勝田守一が教育科学研究会を発足させ、その組織の委員長になった、その時の教育学の検討を行ない、論文を発表した(戦後教育学における「倫理的な問い」『教育』2009年3月)。そこで勝田の「倫理的な問い」こそ、戦後教育学を特色づけ、なぜ、教科研が再建されたのか、その問題を解く鍵になることを明らかにした。 なお、佐藤は、前田晶子鹿児島大学准教授と、今後のこの研究会の進め方を話し合った。前田は戦前教科研の重要な一員である山下(森)徳治の教育学研究の意義を強調し、論文の作成を提案した。最終年度の課題として確認した。
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