2008 Fiscal Year Annual Research Report
PBLテュートリアル学習過程における学生のスタディスキルズ習得とテュータの役割
Project/Area Number |
19530835
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
徳本 弘子 Saitama Prefectural University, 保健医療福祉学部, 教授 (00315699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添田 啓子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70258903)
工藤 里香 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80364032)
関根 正 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (20404931)
丸岡 弘 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80325985)
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20310625)
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Keywords | PBLテュートリアル / スタディ・スキルズ / 学習過程 / テュータの役割 / 習得過程 / 発話のトランザクション / 自己評価・リフレクション |
Research Abstract |
学生のスタディ・スキルズ習得は学習の質に影響すると言われているが、大学生がどのようにスタディ・スキルズを習得するかの研究は少ない。本研究は、初年次学生がPBLテュートリアル(問題解決型少人数教育)の授業で、スタディ・スキルズを習得する過程とテュータの役割を明らかにする研究の一部である。本年度は昨年同様、スタディ・スキルズのうち議論スキルと問題解決思考の習得の過程のデータを収集した。方法は、学生の承諾を得られたグループ(7人1グループ)に授業全過程の議論のビデオ撮影を行った。全55グループの内3グループから承諾を得て、授業の全議論過程を録画録音しデータとした。また授業終了後、参加学生に対して、議論過程のスタディ・スキルズの習得状況についてインタビューを行い録音した。このデータはテキスト化し、Berkowitz&JCGibbs(1983)の議論の発話分析方法を用いて議論の内容分析をおこなった。また学生のインタビューデータから、スタディ・スキルズ習得の自己評価をクールごとに抽出した。議論の全発話分析をグループごとに行い発話の量と質を明らかにした。その結果、テュータの発話量が減少し、学生の発話の量が増加するグループは映像上、回を重ねるごとに進行、議論、自己学習が学生の主体で行われるようになっていた。発話分析においては学生が進行、議論を深める操作的トランザクションを発した議論が出来ていた。インタビューでは、学生は徐々に自分たちの力で議論が進められるようになったことを自己評価していた。一方テュータの発言が一貫して多いグループは、映像においてテュータの進行で議論がなされていた。学生の発話には進行、操作的トランザクションの発話は見られず、情報を表出する表明的トランザクションのみの議論であった。学生の自己評価もグループで発言できるようになったことのみの自己評価で他の自己学習能力、議論進行等の自己評価はみられなかった。 この結果は、議論を重ねることで学生の議論進行のスキルや学習能力が習得されることを示しているが、グループ間の学生の議論の発話の質が議論過程の能力修得の差につながるのではないかと予測した。今後、7グループの議論過程を比較検討し、スタディスキル習得と議論の関係を明らかにする。
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