2009 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児に対する日本語発達評価法の開発に関する研究
Project/Area Number |
19530862
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
澤 隆史 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (80272623)
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Keywords | 聴覚障害児 / 文 / 語彙 / 日本語 / 形態素 / 発達 |
Research Abstract |
本研究は、聴覚障害児が産出した文の分析を通じて文法や語彙の習得における発達的特徴を明らかにし、その知見に基づいて日本語発達評価法を開発することを目的としている。本年度は、前年度に実施した形容詞および格助詞の使用と誤用に関する研究成果を論文誌にまとめるとともに、(1)接続表現の使用における特徴、および(2)格助詞理解の評価方法の開発について研究を実施した。(1)については、特別支援学校(聾学校)小学部児童の作文を対象に分析を行い、低学年群と高学年群ともに接続助詞、並列助詞の使用が顕著に多く相対的に接続詞の使用が少ないこと、接続詞については聴児と聴覚障害児のいずれでも多用される接続詞がある一方で使用数に差のある語も認められ、特に聴覚障害児は"経過"や"理由"を表す接続詞の使用が少ないことなどが示された。また高等部生徒が書いた作文を対象として小学部児童と同様の分析を行うと共に、各表現の使用傾向から作文の類型化を行った。(2)については、7種類の格助詞について、それぞれが示す深層格別に課題を作成し小学部児童に対して実施した。その結果、格助詞間での通過率の差が大きいこと、同じ格助詞であっても深層格ごとに難易度が異なること、同じ深層格を有する格助詞への置換が多いことなどが明らかになった。本年度は本研究の最終年度にあたる。3年間の研究を通じて、聴覚障害児の書きことばを中心に語の使用や誤用の特徴およびその発達的変化の詳細を語彙レベルで明らかにすることが出来た。各々の語彙の使用に関する発達的な指標を提示した点で、本研究の成果は今後聴覚障害児の日本語発達研究を進めていく上での新しい視点を提起するものと考える。また日本語発達評価法については、個々の語彙や文法項目のレベルでの評価方法を提案できた。一方、本研究で提案した評価方法は評価項目が限定されるとともに、評価の妥当性および信頼性についても更に検討の余地が残された。
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Research Products
(5 results)