2007 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援教育移行期における特別支援学級・通級指導教室の動態分析
Project/Area Number |
19530870
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
越野 和之 Nara University of Education, 教育学部, 准教授 (90252824)
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Keywords | 特別支援教育 / 小学校 / 中学校 / 特別支援学級 / 通級指導教室 / 全校支援体制 / コーディネーター / 校内委員会 |
Research Abstract |
本研究は、2007年度より法令上の根拠を持って本格的な実施段階に入っている「特別支援教育」への転換について、特に小学校・中学校における中心的な制度基盤である特別支援学級および通級指導教室の実態およびその年次的な推移を実証的に明らかにし、通常の学校における「特別支援教育」構想の中核的概念である「全校支援体制」の成立条件および「特別支援教室」構想への展望を検討しようとするものである。研究の初年度である2007年度においては、以下の調査・検討を実施した。なお、いずれの作業も現在進行中であるが、08年度の早い段階で中間的な分析結果を公表の予定である。 1.養護学校義務制実施期からの30年間にわたる特殊学級等に関する統計量の電子化と分析:『学校基本調査報告書』における特殊教育関連データを電子化し、盲・聾・養護学校の設置状況や在籍率との関係で特殊学級の開設状況、在籍状況を検討している。特別支援学級の開設および在籍状況には都道府県間に大きな差異があり、その差異は養護学校義務制実施期以降30年間を経て様相を変化させながらも縮小していない。これらの状况は、特別支援教育への移行についても、都道府県間で異なる課題を惹起していることが予想され、その具体的様相の把握が必要であることが明らかになった。 2.特別支援教育の推進体制に関する全国実態調査および特別支援学級全国実態調査の実施:上記1の結果も受け、標記の課題につき、特別支援教育法制化初年度の実態を把握するための調査票(質問紙)を作成し、2007年度末に全国の公立小・中学校に調査票を送付した。調査票は学校の基礎的条件、特別支援教育の推進体制(コーディネータの指名、校内委員会の組織と把握・対応した児童生徒、学校内外の連携体制等)、特別支援学級の基礎的条件および特別支援学級が(在籍の有無にかかわらず)定期的に指導している児童生徒の実態などから構成し、調査対象は全国の公立小・中学校から無作為に抽出した3328校(小2330校、中学校998校。抽出率10%)であった。現在回収をほぼ終え、データの電子化にあたっている。
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