2007 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の内的表現能力の脳科単的実証とそれ剤促進する指導法の開発研究
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19530883
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Research Institution | The National Institute of Special Education |
Principal Investigator |
笹本 健 The National Institute of Special Education, 企画部, 上席総括研究員 (40141999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西牧 謙吾 国立特別支援教育総合研究所, 教育支援研究部, 上席総括研究員 (50371711)
徳永 亜希雄 国立特別支援教育総合研究所, 企画部, 主任研究員 (10359119)
玉木 宗久 国立特別支援教育総合研究所, 教育支援研究部, 研究員 (00332172)
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Keywords | 内的表現能力 / 重度・重複障害児 / 自閉症児 / NIRS / 脳科学 / 教育実践 |
Research Abstract |
いわゆる重度・重複障害児や重度の自閉症児といわれている子どもたちの内的能力は、おしなべて外的な子ども像よりも相当に高い、ということが分かってきた。しかし、これらを実証する客観的な測定が困難であることから、新たな指導法の開発は未だされがたい状況にある。本研究では、脳科学の先端的測定法である光トポグラフィー(NIRS)を用い、健常の子どもと上記障害のある子どもの内的状況の変化を脳神経細胞の賦活レベルで捉え、比較検討することによって、従前から行ってきた教育実践の成果を客観的に実証する。さらに、それを踏まえて子どもの自己表現能力の評価指標や促進の方法の開発を行うものである。本年度は健常の子ども(小学4・5年生男子)11名に対し、(1)「ア行」「カ行」の単純筆記、(2)「あ」「か」のつく単語の筆記、(3)前記(1)の手の補助をつけての筆記、(4)前記(2)の手の補助をつけての筆記、以上の課題遂行中の脳賦活部位をNIRSにより測定し、分析を行った。さらに、(1)先行研究、類似研究からの知見の収集(広島)、(2)重度の運動障害があるが、書字が可能となり、知的にも高いと認識された事例の資料収集(仙台)、(3)・研究所教育相談を通じ、対象児(運動障害・自閉症)3名に対する指導実践と資料収集(各1回/月)を行った。健常の子どもに対する筆記課題遂行中の脳賦活部位の測定の結果、(1)いずれの筆記課題ともに、自分自身で行う課題と手を添えて行う課題では、平均した波形では違いが見られなかった、(2)課題遂行延べ数の平均値によれば、筆記課題遂行中の脳賦活部位は、左脳前頭葉付近に優位な傾向が見られた、(2)測定結果では個人差が顕著でありさらに動きを伴うためアーチファクトの出現が頻繁であった。障害児の測定場面を想定すれば、遂行課題や測定内容・方法に今後工夫が必要である、という知見が得られた。実践面では、特に自閉症の子どもは、書字の際、信頼性の希薄な部外者の存在が大きな障害となることが確認された。
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Research Products
(1 results)