2008 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の内的表現能力の脳科学的実証とそれを促進する指導法の開発研究
Project/Area Number |
19530883
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Research Institution | The National Institute of Special Education |
Principal Investigator |
笹本 健 The National Institute of Special Education, 教育支援部, 上席総括研究員 (40141999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西牧 謙吾 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 上席総括研究員 (50371711)
徳永 亜希雄 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 主任研究員 (10359119)
玉木 宗久 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 主任研究員 (00332172)
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Keywords | 重度・重複障害児 / 書字表現 / 内的能力 / NIRSによる測定 / STA / FC |
Research Abstract |
重度の脳性マヒで、発語は不明瞭、重度の運動障害があり寝たきりの状態であるがSTAによる書字が可能であり、知的にもかなり高い対象児(1名)に対し、以下のような筆記課題遂行中(語流暢課題中)の脳賦活部位をNIRSにより測定した(3月)。視察による検討を行った結果、STA条件において、測定領域の一部のチャンネルで、語流暢課題中にOxy-Hbが増加する反応パタンが認められた(ただし、分析処理する前のNIRSの原データをみると、アーチファクトと思われるようなヘモグロビン濃度の大きな変動も確認された)。この対象児の場合、アーチファクトの要因を軽減し、如何に妥当性の高いNIRSデータを確保していけるかという課題が残った。今後はSTAの方法の工夫および測定環境・課題の工夫が必要であり、同一対象児による再度測定を行うこと、また、異なるもう一名の対象児に対する測定も行う予定である。実践面では、STAにより、書字による表現が可能となった事例、あるいはその可能性のある事例に関する数多くの情報や資料を収集することができた。中でもA特別支援学校では、教育実践にSTAが活用されていることが確認され、実践研究ネットワークが形成されつつある。また、これを通じて今後の指導実践への活用に関する研究協力・資料提供が確認された。 FC(ファシリテーテッド・コミュニケーション)を行っている対象児Aではパソコンを使用して自力による書字表現活動の兆候が見られており、介助無しでの文字表現の可能性が大きくなってきている。対象児Bでは、学校により対象児の内的な能力が認識され、能力に応じた個別指導が行われるようになってきている。また、FCから他者(研究代表者)とのSTAによる書字も可能となってきている。ただし、両対象児ともにNIRSによる測定は拒否しており、現在は不可能である。
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