2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540088
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝田 篤 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60183779)
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Keywords | スペクトル逆問題 / スペクトル収束 |
Research Abstract |
多様体やグラフの幾何構造、位相構造について調べた。境界付きリーマン多様体においてラプラシアンの固有値や固有関数の境界値からどの程度元の多様体の幾何構造や位相構造が得られるかというゲルファントのスペクトル逆問題は、リーマン幾何学におけるスベクトル幾何学の名称の下での多く研究とCTスキャンや非破壊検査の基礎となる数学であるいわゆる逆問題の研究との交差点に位置する興味深い問題である。すべて固有値、固有関数の情報から多様体を復元することはBelishev, KurylevとTataruの研究により完全な結果が得られている。これに対し、一部の情報(有限個でかっ誤差を含む)から多様体の位相型や擬等長類がわかるかという安定性、再構成の問題は実用的観点からも興味深い。逆問題は一般にはill-posedであるので条件付き安定性を考えるわけであるが、これは具体的には、あらかじめ考える多様体のクラスを指定することに対応する。これまでAnderson, Kurylev, Lassas, Taylorとの共同研究においてRicci曲率、平均曲率の両側評価、単射半径の下からの評価、直径の上からの評価を指定した多様体のクラスでの結果を得ていた。今回、上記の条件の内、単射半径の評価を緩めることに努めた。まだ思わしい結果は得られていないが、定式化としては加須栄、久村のスペクトル収束の枠組みで考えるのがよいのではないかと考えている。すなわち熱核の境界値への制限から定まる位相と全体の熱核から定まる位相との関連をみることが重要であろう。 上記以外の研究としては、無限グラフ上のランダムウオークと双曲力学系の測地流の関連や無限グラフ上のパーコレーションについても調べている。
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