2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 厚 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 助教 (60284155)
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Keywords | 解適合細分 / 階層型有限要素 / 特性有限要素法 / 部分構造反復法 / 縁取り直接解法 |
Research Abstract |
非圧縮流れの基礎方程式であるナビエ・ストークス方程式で記述される三次元流れ問題において,なるべく少ない計算量で高解像度の計算を実現できるアルゴリズムを開発することが目的である.ナビエ・ストークス方程式の物質微分項に特性曲線による近似を適用して時間微分の近似を行うことで時間発展の各ステップで線形のストークス方程式を解くアルゴリズムが得られる.この際,領域全体での高解像メッシュをもちいることなく,流れが急激に変化する領域において有限要素分割を細分することで計算の効率化を図る. この研究目的に対し本年度は特に要素細分後の連立方程式ソルバーに関して次の結果を得た. 有限要素法による離散化によって得られる連立方程式の効率的な求解法では剛性行列全体を記憶することになり,3次元計算ではその記憶に膨大なメモリーが必要である.計算領域がある対称性を持つ場合に,全体領域での剛性行列は部分領域での剛性行列の足し合わせで再現できることを利用して,メモリー使用量を削減する手法を開発していたが,この手法と部分構造反復法を組み合わせ,計算量を減らすことのできるアルゴリズムに拡張した.境界条件を正射影を用いて表す事で,部分構造反復法の部分問題を共通化でき,参照領域でのLU分解のみを準備することになり高速化が実現できた。 有限要素法の並列計算手法に部分構造反復法がある.このアルゴリズムは弾性体問題向けに開発されてきたが,この手法をStokes方程式を効率よく解けるよう改良した.Stokes方程式をP1/P1安定化有限要素法を用いて近似し,内部自由度を消去したあとの不定値問題に共役勾配法を適用し,その前処理に剛体運動自由度と圧力不定性から粗空間を構成する平衡化処理を採用した.安定化手続きが,粗空間での可解性を保証することを示した.これは圧力変数部分の符号を取り替えることにより,行列の強圧性を示すことができたことによる.部分問題に直接法解法を導入することで,高速計算可能なアルゴリズムを構築し,計算コードを作成した.
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