Research Abstract |
本年度は第1年目に続き,変分問題,微分方程式,幾何学的測度論の研究の最新の情報を収集しこれらの交錯する分野における状況について調査し,国内外におけるミニマイジング・ムーブメントの研究の情報を収集する計画であった。そのためまず解析学関係図書を数冊を購入した。そして研究代表者の菊地は広島大学,熊本大学などを訪問し広島大学教授坂口茂氏,三上敏夫氏,熊本大学教授三沢正史氏らと研究連絡を行った。このほか浜松市,大阪市,姫路市などで開催された研究集会に参加し,参加者の神戸大学教授丸尾健二氏,同准教授石井克幸氏,茨城大学教授曽我日出夫氏,広島大学准教授川下美潮氏,東北大学教授久保英夫氏らと研究連絡を行った。このほか各分担者にも必要な研究連絡,情報収集を行ってもらった。また,研究代表者菊地は米国フロリダで7月に開催されたWCNA2008に出席しこれまでの研究成果について発表した。 研究代表者菊地は以前に曲面の振動方程式に代表される準線形双曲型方程式に対してエネルギー保存則の仮定の下での弱解の構成や線形近似についてミニマイジング・ムーブメント法を用いて研究を行ったが,今年度はこれらの結果の連立準線形双曲型方程式系への拡張を試みた。連立系になるとエネルギー汎函数が凸とは限らず一般には準凸となるところに困難点がある。多くの技術的な仮定を要求すればこれらの事実が成立するという結果はすでに得られていたが,今回の研究では,これらの技術的仮定をほぼ解消させることに成功した。ただ,従来から解の定義がやや弱い形でしか与えられておらず,残念ながら現時点では解の定義はこの弱い形のままである。より適切な解の定義の下で同じ事実が確立できるかどうかは今後の課題である。
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