2008 Fiscal Year Annual Research Report
測度距離空間上の調和写像のディリクレ形式による解析
Project/Area Number |
19540220
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑江 一洋 Kumamoto University, 自然科学研究科, 教授 (80243814)
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Keywords | ディリクレ形式 / 調和写像 / 劣講話関数 / 変分収束 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / アレキサンドロフ空間 / 加藤クラス / 熱核 |
Research Abstract |
平成20年度は以下の研究をおこなった。 1.前年度に引き続いて東北大学大学院理学研究科・教授・塩谷隆氏と共同でアレキサンドロフ空間においてリッチ曲率が下に有界の概念をビショップ・グロモフ不等式の形式で導入して、そのもとでラプラシアンの比較定理とリッチ曲率が非負のときに分裂定理が等長同形ではなく同相の形で成立することを示した。平成19年度実績報告において同様な結果が成立することを報告済みだが、さらに弱い条件で拡張可能できることが判明した。またアレキサンドロフ空間の特異性が弱く、特異集合の外側でリーマン多様体であり、その上でBakry-Emeryのリッチテンソルが非負の場合に分裂定理が等長同型で成立することに成功した。この結果はTohoku Mathematical Journalに投稿中である。 2.アレキサンドロフ空間の曲率が下から定数で押さえられている時にその定数のもとでのビショプ・グロモフ型の条件が成立することを厳密に示した。このことは早くから正しいことと認識され、いくつかの宣言が報告者を含めなされてきたが、その証明が完全でなかったことからきちんとした証明を明示が望まれていた。 この結果は日本数学会季期研究所主催国際会議「Probabilistic Approach to Geometry」のProceedings, ASPMに掲載予定である。 3.ワシントン大学・教授Z.-Q.Chen氏と共同でマルコフ過程のフェラー性や強フェラー性が乗法的的汎関数で変換した半群に対して保存されるかどうかについてK.L.Chungの結果を改良する結果を得た。これはOsaka Journal of Mathematicsに掲載予定である。また氏とUCSD教授P.J.Fitzsimmons氏ならびにマンチェスター大・教授T.-S.Zhang氏と共同でマルコフ過程の摂動に関する結果の精密化を行なった。特にエネルギーOのCAFによるファインマンーカッツ半群の特徴付けについて条件の改良を行ない適用範囲を拡大することに成功した。この結果はJ.Math-Pures et Appliqueesに掲載予定である。
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Research Products
(4 results)