2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540351
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
猪野 隆 High Energy Accelerator Research Organization, 大強度陽子加速器計算推進部, 研究機関講師 (10301722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 豪 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (90249904)
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Keywords | 偏極中性子 / 中性子スピンフィルター / 四重極磁気回路 |
Research Abstract |
本研究は四重極磁石の発生する大きな磁場勾配による中性子ビームの偏極性能を実証することが目的である。磁気双極子能率を有する中性子は、勾配を持つ磁場中でスピンの向きに依存した力を受ける。これにより中性子ビームをスプリットし、スピンの向きがそろった、すなわち偏極した中性子ビームが得られる。本研究では、ヘリウム3偏極型中性子スピンフィルターを用いて、この偏極性能を実証しようとするものである。中性子ビームの偏極解析に使用するヘリウム3偏極型中性子スピンフィルターは、スピンに依存した大きな中性子吸収断面積を持つヘリウム3ガスを光ポンピング法により偏極し、中性子ビームの偏極あるいは偏極解析を行う装置である。今年度は、中性子偏極用四重極磁石の製作に加えて、オンビーム型のヘリウム3偏極中性子スピンフィルターの開発も行った。 中性子偏極用四重極磁石は、前年度に設計が完了し、部品の多くは調達してあるので、これの製作を行った。一方、中性子ビーム偏極テスト用のオンビーム型ヘリウム3偏極中性子スピンフィルターは、そのデザイン、設計及び製作を行い、ビームテストに供した。 中性子ビームテストでは、ヘリウム3偏極中性子スピンフィルターのヘリウム3は約50%の偏極が得られ、これにより四重極磁石を透過した中性子ビームの偏極率は98%以上であることが測定から得られた。測定誤差の主な要因は、中性子スピンフリッパーの反転率とヘリウム3中性子スピンフィルター内のガス密度の測定精度による。本測定から四重極磁石により充分高い偏極の中性子ビームが得られることが実証できたが、より詳細なデータ解析やビームテスト等による中性子ビーム偏極率測定精度の向上が必要である。
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