2009 Fiscal Year Annual Research Report
非ブロッホ系希土類合金における重い電子と超伝導に関する研究
Project/Area Number |
19540353
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
村山 茂幸 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 教授 (10157802)
|
Keywords | 強相関電子系 / 構造不規則系 / 重い電子 / 超伝導 / フェルミ液体 / 近藤効果 |
Research Abstract |
構造不規則型Ce合金における強相関電子物性を明らかにするため、高速4極直流スパッタリング法を用いて、非晶質合金CeM,M=Mn,Y,Ruを作製し、X線回折により非晶質CeMの不規則構造を明らかにした。 作製された試料の熱膨張、磁化率、比熱、電気抵抗の温度依存性を測定した結果、非晶質CeYMn,CeRuにおいてCe濃度とともに電子比熱係数γが増大し、電気抵抗ρの-logT依存性および抵抗極大が観測され、Ce高濃度側では低温極限でT^2依存性が観測された。このとき、Kadowaki-Woods則が成り立つことも示された。これらの結果は、Ceの4f電子が近藤効果を起こしCe高濃度側では重い電子を形成することを示すもので、並進対称性のない非ブロッホ系においても遍歴的な重い準粒子バンドが発生することを、ほとんど世界で初めて発見した。さらに、琉球大学理学部NMR研究室の協力により、CeMnのCe高濃度試料の^<55>Mn-NMR実験が行われた。その結果、核磁気緩和時間1/T_1が低温極限で温度Tに比例することが観測され、ミクロな視点からも初めて構造不規則系における遍歴4f電子の存在が明らかにされた。 一方、非晶質CeMnのMn高濃度側ではスピングラス転移が生じ、Mn濃度に応じて巨大な熱膨張係数が発生することも明らかになった。これは、Mnの3d電子がスピングラス凍結と熱弾性に大きく関与することを示すものである。 また非晶質CeRuでは、Ru濃度の増加とともに電子比熱係数γが急速に減少し、Ru>60%では超伝導が発生して超伝導転移温度T_c~3.5Kに達した。さらに、鳥取大学工学部中井研究室でCeRuのXANES実験が行われ、Ru濃度とともにCeの価数が3価から中間価数状態の3.5価へ増加し、その結果超伝導が出現することが示唆された。
|
Research Products
(6 results)