2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素による西南目本弧火山の沈み込み成分マッピング
Project/Area Number |
19540509
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
長谷中 利昭 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50202429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 秀敏 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30170921)
福岡 孝昭 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (90080473)
佐野 貴司 独立行政法人国立科学博物館, 研究員 (40329579)
新正 裕尚 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (60312013)
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Keywords | ホウ素 / 沈み込み帯 / 火山 / 即発ガンマ線分析 / 島弧玄武岩 / 海洋堆積物 / 物質循環 / マントル |
Research Abstract |
海洋堆積物や変質海洋底玄武岩にホウ素が濃集することに着目し、島弧火山岩マグマが生成する深部マントル物質に海洋プレートの沈み込みによる影響がどれだけ及んでいるかを見積もった。調査対象は九州本土全域の新生代火山岩試料で、地殻の混染の影響が少ない玄武岩、安山岩を選らんだ。主成分元素、微量元素の分析は蛍光X線法で行い、ホウ素や他のいくつかの微量元素は原子力研究開発機構(東海)の原子炉を用いた即発ガンマ線分析で行った。ホウ素は試料準備過程における汚染が起こりやすいので、非破壊の本分析法を採用した。昨年度研究計画の目標は九州における西南日本弧の火山岩のホウ素濃集度の時間的、空間的マッピングを行って全体の傾向を知ることである。 ホウ素は深部海洋プレート由来の流体相によってマントル物質に付加するが、部分溶融や結晶分化作用による濃集の效果を考慮する必要がある。同時に分析したニオブやサマリウムなどの元素は部分溶融や結晶分化作用時の挙動が同じで、それらの效果を相殺してくれるので、実際の沈み込成分マッピングはB/NbやB/Sm比で行った。 九州におけるホウ素マッピング結果は大変興味深いものであった、まずフィリピン海プレートの沈み込みが始まった600万年前を境として、それ以前には沈み込みの影響はほとんど見られなかったのが、600万年以降には沈み込みの影響が現れ始めた。沈み込み成分が顕著なのは日向灘に近い火山フロントの火山のみで、背弧側に位置する火山においては沈み込み成分は見られなかった。このことは地震波によって求められた沈み込みプレートの形状が火山フロント付近で急角度に折れ曲がってしまい、背弧側まで達していないことと調和的である。また北部九州と南部九州でも沈み込み成分の濃集度に大きな違いが見られた。このことは沈み込む海洋プレートの年代と関連があるかどうか現在検討中である。
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