2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素原子を配したカリックスアレーン型巨大パイ電子系の創製と分子認識材料への展開
Project/Area Number |
19550037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津江 広人 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (30271711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 類 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60207256)
高橋 弘樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (00321779)
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Keywords | アザカリックスアレーン / 合成 / 分子構造 / 結晶構造 / 気体吸蔵 / 分子不斉 |
Research Abstract |
今日,分子認識化学の研究は飛躍的に発展し,多彩な機能を集積した超分子化学へと展開されている.新たなホスト分子の開拓は,これらの研究の基盤となる上,高性能触媒,高感度センサー,精密分離材料などの先端機能性材料の創製にも欠かせない.交付最終年度となる平成21年度においては,新規ホスト分子となるアザカリックスアレーンを合成し,以下の2つの観点から物性の評価を行った. 気体吸蔵特性:アザカリックス[5]アレーンペンタメチルエーテルを合成し,同化合物の塩化メチレン包接結晶から溶媒を除去したところ,得られた微粉末結晶が,大気の主要四成分の中で二酸化炭素を,室温条件下で迅速かつ選択的に吸蔵することを明らかにした.また,同化合物の放射光粉末X線回折データから結晶構造を解明し,気体吸蔵挙動と結晶構造の関係について明らかにした. 分子不斉の発現:架橋窒素原子を位置選択的に化学修飾したアザカリックス[4]アレーンテトラメチルエーテルを合成し,分子構造および結晶構造を明らかにするとともに,その分子不斉について評価を行った.その結果,従来型のカリックス[4]アレーンとは異なり,本化合物は堅固な骨格を有するために,溶液中においてもラセミ化が進行しないことが明らかとなった.この知見を展開し,分子不斉を有する同化合物の不斉合成が可能であることを実証した(Tetrahedron: Asymmetry 2009, 20, 375).
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Research Products
(10 results)