2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550204
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 幸次 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (80189290)
|
Keywords | 高分子 / 繊維材料 / メゾ相 |
Research Abstract |
結晶性高分子は、非晶相と結晶相との混合物からなると考えられてきたが、これらの量的な混合物ではなく、質的に非晶相と結晶相との中間的な構造を持つとされる「メゾ相」が本研究の興味の対象である。 アイソタクチックポリプロピレンのメゾ相は、溶融状態から氷水中への素早い浸漬(急冷)により得られることが経験的に知られていたが、そのような極端な急冷過程中の極短時間の間に起こる構造変化をX線回折で追跡することは技術的に困難でありこれまで手つかずであった。これを解決することが平成20年度の主要な目標であった。高輝度のX線源と高速の時分割測定が可能な放射光施設(SPring-8)、および、自ら開発した急冷過程をX線回折装置内で再現する高速温度ジャンプ装置(リンカム-ジャパンハイテックLK-300型試作機)を用いて、アイソタクチックポリプロピレンがメゾ化する瞬間を測定することに成功した。これにより、X線回折レベルでのメゾ化の直接的証拠とメゾ化温度(約35℃)を特定することが出来た。 また、アイソタクチックポリプロピレン以外のメゾ化する結晶性高分子の探索を行い、ポリブチレンナフタレートがアイソタクチックポリプロピレンと類似のメゾ相を形成することを突き止めた。 さらに、上述の2種類のメゾ相形成高分子に対して、メゾ相からの加熱過程での結晶化を伴うメゾスケールでの高次構造形成過程についても示差走査熱量測定、変更解消光透過測定、小角X線散乱等を用いて明らかにした。
|
Research Products
(4 results)