2009 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導超格子のテラヘルツ波-磁束量子-電子対相互作用制御とデバイス化への基礎研究
Project/Area Number |
19560309
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大矢 銀一郎 Utsunomiya University, 工学研究科, 教授 (00006280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 晃亘 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90241843)
北村 通英 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90161497)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 超格子 / 固有ジョセフソン効果 / 電磁波放射 / 電磁波検出 / 磁束量子 / 磁束フロー / 量子効果デバイス |
Research Abstract |
本研究は,鉛添加および非添加ビスマス系層状酸化物高温超伝導体に内在するナノ固有ジョセフソン接合超格子から発現する量子現象および電磁波物性を究明し,量子効果を基盤とするテラヘルツ・デバイスの創出を目的とする。 本年度は本研究の最終年度であり,得られた成果は以下の通りである。 1.高臨界電流密度の鉛添加ビスマス系高温超伝導体単結晶を用いて,微細加工技術により微小デバイスを作製した。 2.作製したデバイスにおいて,固有ジョセフソン接合超格子によるジョセフソンボルテックス(磁束量子)フロー発振を実現するには,磁界を接合面に正確に平行に印加して磁束量子フロー動作を行うことが重要であることを示した。 3.高臨界電流固有ジョセフソン接合超格子において,高バイアス電流を制御することにより,この電流磁界に起因するジョセフソンボルテックスが侵入・フローし,そのフロー抵抗が制御可能となるため,マイクロ波をこの超格子に印加した場合,シャピロステップ応答条件が満足され,シャピロステップの観測が可能となることを見出した。 4.同超格子において,ジョセフソンボルテックスフローがジョセフソン接合間で相互作用する場合には,シャピロステップ応答も接合間で同期して生ずることを観測した。同現象は、d波超伝導性をとり入れたジョセフソン接合超格子モデルに基づくコンピュータ・シミュレーションによっても確認した。 5.上記の結果を踏まえ,固有ジョセフソン接合超格子のジョセフソンボルテックス(磁束量子)フローを利用する方式の電磁波発振・検出複合素子を作製し,その機能確認実験を行った。その結果,本方式で初めて,0.7THzの電磁波の発振および検出を確認することに成功した。本結果は,本方式の今後の発展への基盤となる貴重な成果である。
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Research Products
(14 results)